師走になりました。
酒類業界が一番バタバタする師走です。
有難い事に私は酒類業界の小売も卸も製造も経験させて頂きましたが師走だけはどこにいてもバタバタしておりました。
しかし何故かこの師走の忙しさが心地良くもあります。(※逆に12月が暇だと不安になります(笑))
中野酒造も同様に師走に入りバタバタしております。
バタバタしている理由は色々とありますが何に一番追われているのかと申しますと「漬物」の商品作りに追われております。
造り酒屋ではありますが中野酒造小売部門でのメイン商品は「漬物」です。
今日は造り酒屋が作る本気の「漬物」を紹介させて頂きます。
漬物作りは約30年前から開始致しました。商品名は「智恵美人 蔵元漬」です。
既に退社しておりますが中野酒造で長く働いていた名物おばちゃんが、蔵の酒粕で自身もお漬物を作っており酒造りがない空いた時間を活用しようとの事で漬物作りをスタート致しました。その名物おばちゃんに厳しく指導して頂きながら漬物を作って参りました。
「智恵美人 蔵元漬」は徐々にファンが増え続け有難い事に「漬物」のみお買い求め頂くお客様も沢山いらっしゃいます。
私も子供の頃からお世話になっている名物おばちゃんが退社され20年以上になりますが作り方の柱はそのままに改良を繰り返して参りました。
改良の第一歩、まずは原料作りからです。毎年3トンの白瓜で漬物を作りますが5年前から自社で瓜の栽培を開始致しました。
現在は約1トンを中野酒造、2トンを蔵から車で15分の隣町の日出(ひじ)町の農家さんにお願いして栽培しており近い将来は中野酒造で3トンの白瓜の収穫を目指しております。
漬物を作るのは「漬物チーム」がいる訳ではありません。
「日本酒」の「智恵美人×ちえびじん」を造るメンバーが夏場に漬物を作ります。
酒造りでは蒸米の掘り出しや放冷機の掃除担当の工場長も4月からトラクターで瓜の栽培の準備です。
日本酒の製造責任者も同様に漬物作りを率先して頑張ります。
3年前から焼酎粕の廃液を肥料に土壌改良も始めました。土作りからが漬物作りのスタートです。
同じく3年前から苗作りも始めていますがまだまだ上手く行かない事の方が多く勉強中です。
ちなみに苗作りは弊社の会長が担当です。田舎を良い事に沢山の農業の先生がいますので色々な方からアドバイスを頂きますが正直苗作りが一番難しく上手くいかない事の方が多いです。頑張れ会長。
今年も良い白瓜が出来ましたが蔵での収穫量は今年が一番悪くおそらく夏場の高温の影響が出ております。
農業は思い通りに行かない事が面白いですね。
農業を酒造りチームでする事は大変ですが原料に対する愛情が芽生えます。
勝手ながら酒造りに活かされている事もあると思っています。
師走になり今年も心を込めて作った3トンの漬物の出荷がピークを迎えております。
コロナも5類になり観光客が多くなってきましたがお漬物のリピート率は半端ありません。
本業は酒造りですが「漬物」販売に追われる蔵。
これも中野酒造の特色でしょう。
ご飯のお供に刻んで食べたりお茶づけや焼き飯に入れたりが定番ですが鮨のネタにもなるなどのご意見も頂いております。
奈良漬けのように辛い漬物を想像されている方もいらっしゃるかと思いますが粗漬・本漬と繰り返しやや甘口の漬物となっており日本酒との相性も抜群です。
「酒粕から何が出来るのか?」これは中野酒造の1つのテーマでもあります。
「智恵美人 蔵元漬」は「智恵美人×ちえびじん」の酒粕から生まれた商品の中でもダントツ人気NO1商品でもあり、今後も造り酒屋から「漬物」の魅力を発信して行くと同時に「智恵美人 蔵元漬」を使用したレシピを公開して行きたいと思います。